ひとりごとですけども

ひとりごとをひとり呟く場所

あなたのためだけ、カーテンコール

友人と舞台を見に行くのが楽しい。

舞台を見るのがそもそも好きだし、一人で行動するのも好きだ。しかし友人と舞台を見るのがいちばん楽しい。

舞台が終わったあと胸に抱く、ふわっとした言葉にならない感想が、友人と会話する中で言語として輪郭を表していく過程が好きだ。

自分のなかにある感情の輪郭がわからないまま人の言語化された感想を読んでしまうと、ぼくの中にあったものが引っ張られてしまう。そうなってしまうと、ぼくにとってその舞台との出会いがあまり楽しいと思えなくなってしまう。

ぼくはパンフレットも、ネタバレありの感想も、原作も一切インプットせず一度舞台を楽しみたい。そのうえでもう一度、今度は友人と一緒に知識をインプットしてから楽しみたい。

でもそう思い通りにはいかないところが、舞台の大好きなところでもあるのだ。難しい。舞台との出会いは一期一会。そこが素晴らしくもあり、また見ることができなかった舞台への憧憬を底知れないものにさせてしまう。

一緒に観劇する人によって、左右されてしまうのも舞台のはかないところだ。1000人が観劇している時、1人でもマナーを守らない人間がいると、999人にとってその舞台はもうだめな思い出になってしまう。そして同時に劇場へ行く人間を選ぶことはできないのだ。

ぼくは歴史の小話が大好きなのだが、かつての統治者、例えばエリザベス一世などが観劇を好きだったということを想うといつも「時間も場所も一緒に観劇する人間も自分の思い通りならそりゃ最高だろうな」と思わずにはいられない。

願わくば、いつの日かぼくだけのための舞台を二回、思うようにみたいものである。