ひとりごとですけども

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父親の愛

ぼくはもともと涙もろい性質なのだが、そのなかでも特に父親の愛に触れるとどうしても泣いてしまう。

自分がどうしても得られなかったものを手にしている瞬間を見るとき、ぼくのこころは揺さぶられる。創作物で少しずつ愛を摂取することで、ぼくは穴を埋めようとする。

ぼくは何が悪かったのかわからないけれど、父親から愛されてはいなかった。幼いころは本当に心底おびえていたし、いまでも意思とは関係なく涙がでるときがある。

金銭面で支援されていることが愛のかたちだと周りから言われても、罰当たりかもしれないけどお金はなくてもいいから想像のなかの父親のように愛してほしかった。

ぼくが質問したときに怒らないでほしかったし、わがままを言ったときに怒鳴らないでほしかった。お酒を飲んだときに憎んでるみたいに睨まないでほしかったし、嫌味を言われたくなかった。

こころを守るために普段は思い出さないようにしているたくさんのつらかったことは、ぼくのこころのなかで大きなおもりになっている。

誰かにこの話をしてもぼくのこころは満たされないし、幼いぼくが父親から愛されることもない。泣きながらどうしていいかわからなくてただただこわくてたまらなかったあの時間はなくならない。

それでもぼくは父親に似てくる。顔つきや考え方、ものの言い方だって似ているのではないだろうか。それを考えると、ぼくは家族を持つことはできないと思う。

子どもの頃、悲しい思いをしたぼくがこころのなかでぼくを見つめている間は、ぼくは怖くて子どもを育てられない。